異国の街中で ふと目に入った赤い色
赤い手袋 そろそろ新調するべきだろうか?
深い色
遠い北の国では美しいと言われる色を 忌み嫌いながら
それでも 目に入る場所におき続けてきた
それは封印 生きようとする自分を押さえるための
「自分は 命をかすめ取って生きているのだ」
そう思うことで 破滅への道を外れないように
その綺麗な色で 息絶えるその道を照らそうと
目に映る度に 呪文のようにいいきかせてきた
けれども 今では別な道への道標
大切な人が 二つ前の誕生日の頃に教えてくれた
生きたいと思って 倒したことを恥じることはその人を冒涜すること
私が奪った命の分を 誰かの幸せに変えること
「罪は罪 けれどもその分を返そうと思う君を 俺は大切に思うよ」
そう言って顔を真っ赤にさせた貴方のことばが 封印を約束に変える
いつか奪ってしまった人たちに 祈れるように
生かしてくれた人たちに 感謝できるように
店の中に足を踏み入れ ふたつ品物を買い求める
ひとつは赤い手袋 自分の誕生日の記念として
もうひとつはあの人の 自分の誕生日を祝えるようになったお礼
綺麗に包んで貰うあいだに どんな理由で貴方に渡すか考える
お土産と言えば 受け取ってくれるだろうか?
この街で そんなささいな事で悩む日が来るとは思わなかった
受け取った包みを手に また雑踏の中に紛れ込む
全てが灰色だった街が 今は穏やかな感じがする
自分の心が 変えられるのなら
赤い手袋 いつになったら誇らしく見えるだろうか?
赤い色 いつになったらまた美しく見えるだろうか?
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