帰りたい 帰りたい 帰りたい
それは本当は自分の言葉
でも自分ではそれは決して言えない言葉 伝える先を持たない言葉
だからお前には行って欲しい 間に合う内に
自分が帰る場所 自身を覚えてくれて 迎えてくれる場所に
それを持たないものが 不幸だと言うのではない
ただ それを持っているものの方が ほんの少し後にだけ不幸を知るだけ
愛しているよ 愛していたよ
だからお前だけは手に入れたかった
それは出来そうにないから…
お前の姿を忘れぬよう、お前が姿を忘れぬよう
俺は お前の前に立つ
俺は過去のものとなり お前の枷になる
お前が先を見ない限り…
お前はそんな俺を恨むだろうか?それとも俺を忘れるだろうか?
何も思わぬふりをして煙草を傾けたら やはりなにも変わらずくわえ煙草で火をくれた
火の付いてない煙草 それに首を傾げて火を盗ませた
騒がしいはずの酒場の片隅 自分の傍らだけ音がない
寂しくないか?と傍らの声 帰りたくないか?そんな言葉
今はあの北の大地は 春の恵みを受け始めた
自分たちが逃げ出した地 そこに帰りたいかと彼は問う
帰りたい 帰りたい 帰れない
自分が殺した国だから 自分が夢見た国でないから
愛してる 愛してる 愛してた
貴方ではなく 私たちとともに過ごした人を
本当は二人嘘つき同士 愛してると言ってお互いの姿を見ていない
お互い殺した心を 身体の熱で生かし続ける
触れあうことで 抱き合うことで 心の人に謝り続けて
だからお互い忘れるまでは 過ごしていませんか?
神の裁きが下る日まで 破滅の日が二人を分かつまで
神の御手などあるはずもない この地の底で
短くなった煙草を消して 貴方の煙草も盗み取り
深く深く口付けた きっと何かの誓約
神の裁きが下る日まで 破滅の日が二人を分かつまで
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