Endless Recorder

1999年12月

12月1日(水)

まるで低能ゴシップ記事のような悪意ある呼び方にだけは、どうしても穏やかではいられない。それはファン活動のタブー、ある方の言葉をお借りするなら「キャラクターを不当に貶める行為」なのだから。


12月4日(土)

「憎しみは人を強くするわ、怖いくらいに。でも……それは何も生み出しはしない」
「…………」
「本当に人を強くするもの、それは……」
「わかっています。だから自分はここにいるのですから」
いいえ、あなたはわかっていない。だってあなたの見ているものは……。この街は……。

「あの人は全部持っていたわ。家伝の刀も、類い稀なる霊力も、初めて惹かれた人も、全部全部あの人のものだった」
「絶対に追いつけないのよ。私はどんどん醜い姿を見せていくのに、姉さんはずっと微笑んでいるの。美化されてゆくだけの人の思い出の中で!」
悲鳴のように言い放つと、かえでは両手で顔を覆った。そして小さく、残酷だわ、と呟いた。

今日、模試の最中に思い浮かんで、慌てて問題用紙に書き留めた文章。おーい、すみれくんの話はどうなったんだ? じゃなくて、集中して受けなさいな。


12月8日(水)

夜中にメールチェックをしていたら、そのまま10分くらい寝てしまった(汗) 危ない危ない、非テレホの身で朝まで、なんてやったら洒落にならないぞ。

OVAについて掲示板に書いてみる。私も懲りない奴だなあ。しっかし舞台が第三話直後だなんて、誰が行っても「それさっきやったじゃん」な話だな。


12月9日(木)

主観を排しているのかと問われれば、否と答えるしかないだろう。私的な感情を義憤に飾り立てていると、それは偽善だと言われても否定はできない。

頭の中ではもっと刺々しい、毒を含んだ言葉が渦巻いている。我を押し通すためなら、平気で人を傷つける人間なのだと怖くなる。そして、その自覚があるだけマシだと考えてしまうのは、もっと愚かなことだ。消えることのないスラッジのような感情が、私の心を冒してゆく。


12月10日(金)

精神状態がよくない。しばらく距離を置いてみることにする。一番簡単な方法とはいえ、できれば避けたかったが仕方ない。独りで胸を掻き毟っているのには疲れてしまった。叫びたいことは腐るほどある。だが、毒を垂れ流すのは環境汚染というのだ。周りに迷惑をかけないように、自己処理するしかないのだ。

どうしてこんなにも涙腺が脆いのだろう。私は何のために泣いているのだろう。


12月13日(月)

「神経質なんだよ、君は」……わかっているよ、それくらい。

天城の言い訳書き込みを見て、ここへいらっしゃった方へ。要するに12月1日の日記以外は、すべて「好き嫌い」レベルの意見です。ご意見お叱り何でもどうぞ。ただし、感傷的な抗議はメールにてお願いします。


同日追記。

胃が痛くて予備校を休んだ。急に気を駆り立て強気になったかと思えば、その10倍落ち込むことの繰り返し。精神が疲弊している。どうしたらいいのかわからない。

友人に言わせると、私の堅苦しい物言いは癇に障るそうだ。悪いけど、そういう風にしかできないんだよ。フランクに場を和ませるような力量も、それが許されるような人徳も、生憎持ち合わせていないものでね。これはこれで努力しているんですけどね。気を抜いたら、途端に毒を吐き出すだろうから。


12月15日(水)

「ファンとしてするべきではないという考えもそのスタンスから出たものであり、言ってしまえば偏見に過ぎません。まして『悪意はない』と仰るのなら、自分のポリシーに基づいて否定する理由はなくなり、単に嗜好的なレベルで不快感を覚えていることになります」

あまりにそぐわないので書き直したけれど、本気でこんな堅苦しいことを書き込もうとしていた。どうしてこんなにややこしく、そして恐らく意味のないことをぐだぐだと考えているのだろう。

今月の日記だけ読んだ方は、きっと「ケッ、被害妄想の激しい根暗だぜ」と毒づいてお帰りになったことでしょう。まあ、以前のを読んでもあまり印象は変わらないだろうけど。私は信念のためではなく、あの娘のためにでもなく、単に自分の思い通りにならないから泣いているに過ぎないんだろうね。だって偽善者だもの。この涙は透明じゃない。

言葉の刃を振り翳したくなったり、独善的な衝動に駆られたり。その元となる毒を生まないためには、この不安定な心を穏やかにしなければならないのでしょう。ごめんなさい、頭の中がぐちゃぐちゃです。


12月17日(金)

明日からしばらく休館させていただきます。タイミングが悪すぎました。ずっと憧れていたものが崩れた喪失感に情緒不安定が重なり、距離を置こうと思った矢先のアクシデント。胃が痛くてなりません。

好かれるのも嫌われるのも、傷つくのも傷つけるのも怖いのです。他人の眼を気にしすぎているのでしょう。そうわかってはいても、一生この呪縛から逃れられないのだろうね、私という人間は。


忌憚のないメールをくださったROMの方へ。わざわざ私などに時間を割くほど、ご不快な思いをさせていたことをお詫び申し上げます。不本意ではありますが、あなたの文章に多分な影響を受け、ここ数日著しい精神不安定に陥っていました。貴重なご意見、ありがとうございました。

半年間に渡り私の言葉に耳を傾け、内面を知ってくださった方へ。あなたに寄りかかりすぎていることが不安で堪りませんでした。こんな日が来ることを恐れていたのでしょう。でも、すべては私の甘えなのですからこれでよかったのです。ありがとうございました。あなたの言葉は私の支えでした。

お越しいただいたすべての方へ。更新が遅いにも拘わらず来てくださって、ありがとうございました。ご期待に添えず申し訳ありません。勝手ですが、気持ちの整理がつくまでお休みさせてください。私の発言に不快な思いをされた方々には、誠に申し訳ない思いです。一部の方々にはご迷惑をおかけしてしまいましたが、ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。

今まで本当にありがとうございました。再びお目にかかる時には、もっと穏やかな心になれていたらと願っています。


12月18日(土)

私の小さなお屋敷は今日で一旦お休み。休館のお知らせを掲載しました。なんだか、気持ちが少し軽くなった気がします。ここ数日の日記を読み返してみると、眼を覆いたくなります。心配してくれって叫んでいるようなものね。カッコ悪いったらありゃしない。ごめんなさい。やっぱり甘えてばかりでしたね。

あの方には申し訳ないことをしたと思っています。私がこれ以上傷つかないように逃げることで、あの方に傷を負わせてしまった。同じものを好きだったのに、ほんの少しの考え方の違いから、こんな結果になってしまったのはとても残念です。ごめんなさい。少し時間をください。私はあの方の創り出されるものが大好きだし、あの方自身をもお慕いしています。

皆が好きだなんて、否定的なことは言いたくないだなんて、綺麗事、偽善。ある意味そうかもしれません。でも、私にとっては紛れもなく真実でした。……あーあ、私もこれで爆弾投げね。まあ、少しでも考えてもらえるきっかけになったのなら、それもいいでしょう。

ネット撤退も考えましたが、このまま消えるのも癪ですからね。ふう、こんな時でも天の邪鬼だな、私は。でもね、本当はやめたくない、それが一番の理由です。前にも少し書いたけど、失うものが大きすぎるんですよ。作品を書くことはやめません。まだまだ書きたいことがあるからやめません。読んでほしい人がいるからやめません。

大丈夫、私はまだ笑うことができます。桜の花の咲く頃に、またお会いしましょう。