思考の欠片

零れゆく世界

掲載:2002-02-05

「隊長……」

心の片隅で制止の声が上がった。
それを振り切るように見上げた空は、
僅かに紫みを帯びた、淡い淡い瑠璃の色。

「少し泣いていいですか……」

青空になれない、頼りなげなその色を
私は信じていなかった。
握り締める格子の硬さも嘘とした。
二人の間を、冷たい風が吹いていった。

解説:あなたも私も、互いの中に幻想を見ていた。永遠という名の幻を。それだけのことだったのですよ、隊長。