思考の欠片

終わりのない道

掲載:1999-12-18

人を傷つける言葉ばかり覚えて
自分を正当化することに大忙し

この選択肢は
エラー?
バッドエンド?
ゲームオーバー?

でもコンティニューは無限だよ
顔を上げ続けている限り

解説:間違ったことをしてはいけない。常に正しくなければいけない。そうしなければ、私の存在が消えてしまうから。……あなたはコンピュータですか?


芽生え

掲載:2000-01-01

一瞬触れた指先の
羞恥と戸惑いと
ささやかすぎる幸せ

不自然に泳がせる直前
その刹那に絡み合う視線

さっと紅潮した互いの頬と澄んだ瞳に
一欠片の真実を見た

解説:大神とマリアのイメージ。執筆中の作品より。


掲載:2000-01-19

ねえ、何をそこまで恐れているの?

人を傷つけてしまうものも
自分を傷つけたと感じるものも

すべて、あなた自身が張り巡らせた茨なのよ

解説:あやめさんの語り口で。自分は悲観的に思い詰めてしまう節があるなあ、と反省中に浮かんだもの。


夜の闇の中で

掲載:2000-01-31

永遠を伝えられなかったのは
真実に直面する怖さなのか
言い訳を用意する卑怯さなのか
それとも信じ切れない弱さなのか

あなたへの気遣いを装わせ
今夜もまた一つ、私は届かない謝罪を重ねる

解説:マリアから大神へ。執筆中の作品より。繰り返すたびに、ますます赦されない者になってゆく気がして怖いのです。本当は信じているはずなのに。


茨2

掲載:2000-02-16

膝を抱えて蹲ったまま
いったい何を考えているの?

どうしたらいいのかは
あなたが一番よくわかっているはず

後押しを求めるくらいなら
自分の脚で立ってごらんなさい

解説:あやめさん。この前の「茨」と元は一つのものでした。縋ってしまうのは弱さであり、甘えなのです。ごめんなさい。


不可逆

掲載:2000-02-27

届かない願い
届かない想い
届かない言葉

戻らない笑顔
戻らない温み
戻れない私

そこにいたのは
私の知らないあなたでした

解説:取り残されたような気持ちになってしまうのです。その原因は自分の作った壁なのに。


不毛な悋気と謝罪の夜

掲載:2000-03-18

拒まれたと感じるのは
何かを求めているから

傷ついたと感じるのは
あなたを愛していないから

嫉妬に捕らわれるそのたびに
繰り返し唱える謝罪の言葉

罪深き私に教えてください
この想いを汚さないための方法を

解説:嫉妬という感情は嫌いです。自分を醜くし、大切な人と、好きという想いを汚します。


答え

掲載:2000-03-31

たとえこの姿が

どんなに情けなくても
どんなに不格好でも
どんなに醜くても

見栄と保身で作られた虚飾の鎧より
貴(たか)いものであると信じたいから

解説:大切にしたいのです。自分が抱いた感情だから。信じたいのです。隠し、誤魔化した姿より、何かが伝わるはずだと。


千の疑問と一つの回答

掲載:2000-04-19

取り繕って誤魔化すのは
傷つきたくないからですか?

誰かを心配するのは
いなくなると困る自分のためですか?

好きになったのは
優しくされたいからですか?

裏切らないことを期待するのは
信頼と呼べますか?

失うのが怖いのは
いつか壊してしまうからですか?

解説:大切なのは素直になること。希望と期待を取り違えないこと。自分と相手を信じること。


ことのは

掲載:2000-05-12

どんなに気取って捏ね回しても
どんなに素直に書き綴っても
薄っぺらに思えてならない時がある
特に、あなたの前では

文字の羅列は言葉になりますか?
誰かを揺さぶることができますか?

たとえ誰か一人にでもいい
この手でしか生み出せないものがある
私にしかできないことがある
それを、信じていてもいいですか?

解説:あなたには敵わないんだ、っていつも思います。悔しいけれど、少し嬉しくもあるのです。


変わり続けてゆく君に

掲載:2000-05-26

「早く大人になりたい」
「もう子供じゃないもん!」
同じ数だけ口にしてないかい?

屈んで目線を合わせるわけでも
爪先立ちで背伸びするわけでもない

今の、君の眼でしか見えないもの
今の、君の心でしか感じないもの
それを大切にしていってみないかい?

解説:大神からアイリスへ。自身の誕生日に際して。ありのままでいいんだよ。昨日と同じものは見られない、感じられない。たった一度の「今」だもの。だから、一歩一歩を大切に、ね。


拒絶

掲載:2000-06-03

「……もう、やめましょう」

静かな声だった

「こんな関係になんて、なるべきじゃなかった……
 隊長もそう思ってらっしゃるんでしょう?」
「俺は……」
「……やめてください!」

伸ばした手は振り払われる

「あなたはいつだってそう!
 優しくすればそれで済むなんて、考えないでください!」

解説:「差し伸べし手」の続編……かも。飽くまで予定段階。安易な同情も、独善的な優しさも、人を傷つけるもの。本当の優しさ、そして強さとは、そういうものではないと思うのです。


この日、眩しく輝く君に

掲載:2000-06-19

君が好きだよ
君が好きだよ
君が好きだよ

だから

……おめでとう

解説:マリア生誕祝い。何の捻りもないといえばそうだけど、出てきたままを書いたらこうなりました。


横顔

掲載:2000-06-24

眉寄せて一体何を悩んでいるの?
凛とした態度の裏で見せた顔
あなたはいつも独りで抱えてばかり
偶には寄りかかってもいいんだよ?
力を入れてばかりじゃ疲れてしまう
バツの悪い顔しないでよ
何も言わなくたっていいんだから

解説:サクラ大戦BBSの「マリアお誕生日記念あいうえお作文」企画に投稿したものの再録。君を見ているとね、辛くなったりもするんだよ。それは勝手な主観だけど、放っておけないんだよ。


煌き

掲載:2000-06-29

丸く見開かれた綺麗な瞳は
リングの宝石も眩むほど
愛の言葉を重ねるよりも
ただ傍にいてほしい
誓いは枷ではなく未来だと
万感の思いを込めて今日言うよ
永い時間をずっと共にゆこう、と

解説:同じく投稿作品。かなり浮いていて恥ずかしかったです。縛りつけ合うことしかできないのなら、一緒にいる意味がない。支え合うことができるのなら、共に生きてゆけばいい。慰めや甘えではなく、それはきっと力だから。


距離

掲載:2000-07-05

お誕生日が来てひとつ大人になっても
みんなだってひとつ年上になっているんだもん

どんなにがんばっても追いつけないなんて
そんなのずるいよね、お兄ちゃん?


お誕生日が来てひとつ大人になっても
お兄ちゃんはいつまでもお兄ちゃんのままなんだもん

どんなにがんばっても隣に並べないなんて
そんなのずるいよね、お兄ちゃん?

解説:アイリスの誕生日に。この距離はどうやったって縮まらない。でも、今のあなたの歳に届いた時に、何かがわかるようになっているように。そんな風に歳を重ねてゆけたらいいね。


嫉み

掲載:2000-07-11

ごめんなさい、わかってはいるのです
あの人は何も悪くない
筋違いな嫉妬をしている子供がいるだけ

面白くないのね、悔しいのね
あたしが望む場所にいる人だから
あたしが届かない場所にいる人だから

周りの人に謝ってばかりいて
そのうち「ごめんなさい」って、その言葉しか
喋られなくはならないだろうか

解説:さくらくん。同じものを求めるから苦しむのにね。そうわかっていても、どうして楽になれないんだろうね。


誰がため

掲載:2000-07-20

それはあなたが「隊長」だからですか?

部下だから話をするんですか?
戦場に連れ出したいから機嫌を取るんですか?
戦力が欠けると困るから盾になるんですか?

一人の人間としてじゃない
「隊長」だから……
「隊長」だから、あたしに優しくするんですか?

解説:損得だけで付き合うなんて寂しすぎるよ。確かにゲーム中では「信頼度=恋愛度」ではあるけれど、何でも恋愛に結びつけようとするのは非常に危険です。


拠り所

掲載:2000-08-05

あなたの優しさに
半分だけ寄りかからせてください

十優しくされて
十甘えてしまったら
今度は百の優しさを求めてしまうから

解説:裏切らないように、汚さないように、護れるように。


心中容積

掲載:2000-09-11

あなたの中の私と
私の中のあなた

その大きさが違うと
泣いて、怒って、求めて、嫉んで

大小なんてその認識すら
間違っているとも気づかずに

解説:私の胸はあなた一人で容量オーバー。狭い心と視野で縛りつけたところで、不幸な結果しか生み出しはしないのに。


哀しい我が儘

掲載:2000-10-01

望みは輝く石を頂いた指輪でも
いつ果たせるとも知れない約束でもなく
今この安らぎの持続
あなたの温もりが隣りにある日常

――傍にいて

滲んだ血の味と共に飲み込んだ願いが
別離という事実に押し流されてゆく

解説:第十三話のマリア。遥か遠くの希望より、今この手の内にある幸せを手放したくない。それは弱くて身勝手な、でも口にできない、哀しい哀しい我が儘。


過去

掲載:2000-10-10

私たちは真剣でした

心重ねて
想い重ねて
未来さえも重ねられると

そう本気で……
本気で信じられたのです

解説:執筆中の作品から。過ぎ去った日々の眩さと、その遠さに耐えられないのなら、あなたはどうしますか?


帰らぬ日々

掲載:2000-10-31

助けてください
涙の海に呑まれる前に
助けてください
あの夏のように手を引いて

すくいきれないものは溢れる雫と
縋ることしかできないこの身
あの時温もりに包まれていた手は
今は冷たい水を掻くだけです

助けてください
それはもう許されない願いでも
助けてください
ああ、たとえ幻影のあなたでも

解説:思い出という名の感傷にすべてを委ねてしまえるのなら、それはとても楽なことなのかもしれない。「掬う」と「救う」をかけるのは、ちょっとお気に入り。


親友

掲載:2000-11-14

「……何でもねえよ
 じゃあ、あたいはそろそろ行くから……」
「ああ……それじゃ、また」
「…………」

部屋を出ようとした脚を、僅かに止める
小さな躊躇を振り切るように、大きく頭(かぶり)を振る
再び青年に向けた顔は、惹き込まれそうな陽の笑み

「隊長、マリアのこと……頼んだぜ!
 あいつには……頼れる男が必要なんだ!」

無理していないわけじゃない
……でも、本心だ

解説:サクラ1第八話のイベントより。カンナがヒロインの際のそれより、好きだったりします。


消滅願望

掲載:2000-11-30

私は幸せです
あなたに誓って嘘ではありません
でもごめんなさい
どこかで「もっと」を望んでいる貪欲な自分を
私は消せないのです

あなたが好きです
この心に誓って嘘ではありません
でもごめんなさい
その想いさえ汚してゆく残酷な自分を
私は消せないのです

解説:斬っても斬っても消えない私の闇を、誰か殺してください。


ないものねだり

掲載:2000-12-09

大切なものは傍にあるのに
何を遠くに求めているの?

今この身に注がれる
穏やかな視線、想い、言葉……
かけがえのない宝物

それに気がつけずに
何を見つけられるというの?
それさえも汚し続けて
何を護れるというの?

解説:どうして何でも欲しがるの? 向上心とは異なる貪欲さが、この身に巣食っているのはなぜですか?


嫉妬

掲載:2000-03-27

あなたのせいだと思いたがっている

あなたが私だけを見てくれるのなら
こんな感情に支配されることなどないのだ、と
この想いを汚し、自分を醜くすることなどないのだ、と
そう思いたがっている


嫉妬なんて感情は嫌い
でもそれを大切な人に擦りつけ、正当化しようとするのはもっと嫌い

あなたの心に私がいる
それはわかっているはずなのに、どうして満足できないの?
それだけで幸せだと感じた喜びさえ、自ら偽物にするというの?


ごめんなさい
嫉妬をしてごめんなさい
あなたを汚してごめんなさい
こんな私でごめんなさい

我が儘なのはわかっています
虫のよすぎる願いなのは承知です
でもどうか、どうか嫌いにならないで

解説:番外編。旧URLの上位ディレクトリに密かにあった表紙ページにて、休止中に公開していました。手に入らないのなら、私の知らないあなたを殺したい。その衝動と、それを打ち消し伸しかかる罪の意識は、どちらが私の本意なのか。