「サクラ大戦」とはドラマチックアドベンチャーを謳う一ゲームソフト、またはその一連の世界を指します。
1996年9月にセガサターン用ソフトとして発売されて以来、続編である「サクラ大戦2〜君、死にたもうことなかれ〜」、ドリームキャスト対応の「サクラ大戦3〜巴里は燃えているか〜」「サクラ大戦4〜恋せよ乙女〜」をはじめ、関連ソフトも多数ある人気シリーズです。
大正浪漫、少女歌劇、特撮戦隊物のノリ、TVアニメを模した構成……等々、様々な要素を持つこのゲームは、非常にしっかりとした世界観の上に成り立っていながらも遊び心に溢れ、年齢性別を超えた多くの愛好者が存在します。
舞台は蒸気機関の発達した架空の「太正」時代、そして西洋文化と日本古来の文化が入り交じる帝都・東京。
この街に蔓延る魔に対抗するために作られた、秘密部隊「帝国華撃団(ていこくかげきだん)」。平時は銀座にある大帝国劇場で「帝国歌劇団」として活動するこの組織に配属された若き海軍少尉、大神一郎を主人公に物語は始まります。
劇場のスターとして活躍しながらも、特殊な力を持つがゆえに戦いに身を投ずる6人の少女たち。真宮寺さくらをはじめとする個性豊かな彼女らこそ、戦闘部隊「花組」の隊員なのです。プレイヤーは帝国華撃団・花組隊長である大神となって彼女らを率い、帝都殲滅を目論む悪の組織と戦ってゆくことになります。
サクラ大戦は、隊員たちとコミュニケーションをとるアドベンチャーパートと、彼女らを指揮し敵と戦うシミュレーションパートから成り立っています。
隊員たちには、それぞれ大神に対する「信頼度」というパラメータが存在し、アドベンチャーパートで上下した信頼度によって後の戦闘能力値が変化します。つまり隊員たちへの対応次第で戦闘が辛くも易しくもなるのです。
信頼度に変化を及ぼすのは、このゲームの大きな特徴といえる「LIPS(リップス)」。制限時間つきコマンド選択とでもいいましょうか、プレイヤーは大神の言動を常に緊張感を持って決定してゆきます。あえてタイムオーバーにし「何もしない」という選択によって、よい結果を得られる箇所もあるのが面白いところです。
大神の言動に、実に多彩な人間らしい反応を示す隊員たち。仲間として、あるいはそれ以上の存在として、彼女たちとの信頼関係を築いてゆく過程も、このゲームの大きな魅力のひとつです。
サクラ大戦は音楽CDやガイドブックといった関連商品から、小説やOVA、さらには舞台、TVアニメなど、ゲームに留まらない様々なメディアに展開されており、その名前を耳にしたことがある方も多いと思います。
ですが、基本はやはりゲーム。サクラ大戦はセガサターンだけでなく、ドリームキャスト、Windows95/98にも移植されています。この世界に興味がある、あるいは別メディアで触れたことがあるのなら、是非実際にゲームをプレイしてほしいと願わずにはいられません。
さあ、主題歌「檄!帝国華撃団」の音楽と共に幕が上がります。あなたは舞い散る桜の向こうに、明るく、そして切ない、少女たちの笑顔を見ることでしょう。