マリアからの手紙・1

 

隊長、先日はキネマトロンでお元気そうなお顔が拝見できてとてもうれしかったです。 

でもキネマトロンではなかなかゆっくりお話ができないので、久しぶりにお手紙を書くことにしました。

 

隊長がフランスに行かれてから半年が経ってしまったのですね。隊長と共に戦った日々が昨日のことのようでもあり、またずっと昔のようなことのようでもあります。つらく苦しい戦いでしたが、帝都の人々の明るい笑顔を見るとすべてがよい思い出のようにさえ思えます。

 

こちらは秋公演も終わり、クリスマス公演までのしばしの休息をみんな楽しんでいます。

みんな相変わらず元気です。さくらはこの休暇を利用して仙台に帰るそうで、先程から慌ただしく準備をしています。

カンナは修行してくると沖縄に帰りました。

すみれは休みになって横浜の実家に戻っていましたが、家にいると毎日お見合いを薦められると早々に帝劇に戻って来てしまいました。今も文句をいいながらもサロンでアイリスに勉強を教えています。

織姫は今まで一緒に暮らせなかった日々を取り戻すように休みのほとんどをお父様と過ごしているようです。

紅蘭は花やしき支部でまた何か新しい発明をしているようです。昨日、キネマトロンで連絡をしてきましたが、どうやら何かまた爆発させたらしく顔を煤だらけにしていました。

レニは…レニについては大ニュースがあります。レニの部屋にベッドが入りました。今まで「必要ない」を繰り返していたのに、驚かれたことでしょう。レニはずいぶん変わりました。花組のみんな、そしてなにより隊長を信頼する心を得たことがレニを変えているのでしょう。素晴らしいことだと私は思っています。

しかし、レニがベッドを入れることを承諾してくれるまでには色々なことがありました。