後 半月
15日分の朝を数えて その次の朝は訪れない
月が陽をかき消した日から 終わりはさだめ
残る日付を数えたくないから 私は闇に落ちるのです
永遠の夜が欲しくなるから 陽を見つめたくないのです
昨日までは そんなことは思わなかった
使命を果たし 貴女をまもり
それだけだったら 禁忌を踏み越えなければ
距離は離れようとも 貴女と同じところにいることが
できると信じて疑わなかった
どんなにそれが思い上がりだったか
どんなに過ごした一瞬が 貴重だったか
どんなに貴重な刹那を 素通りしていたか
手から溢した 時は帰らず
手から離した 彼の人は戻らず
彼の人の想い人の 先にたどり着くのを眺めるだけ
耳に残るは 頼りない記憶の中の彼の人の声
腕に残るは かすかな陽だまりの温もりだけ
後 半月
15個の朝を数えて その次の朝は訪れない
だからその先の朝を迎える貴女には…
迎えてもらうために ただ私は、ただわたしは…